2006.12.04 Monday
失はれる物語
乙一
乙一の短編集。
この人の話は他にも読んだことがあるけど、そのどれもがちょっと怖くてどきどきして切なくて・・・。
他の誰にも似てなくて、この人だけが持つ世界。
そんな彼の持つ世界をそっと覗き見しているようなそんな気持ちでいつも読んでいる。
表題の失はれる物語も、絶望的な世界の端っこで静かに消えていく名もない人の物語だ。
こうなりたくないと思いながらも、もし自分がそうなったら・・・?と思わずにいられない。
「Calling You」は若干消化不良ではあったけど。
最後の「マリアの指」も見事にわたしの想像を裏切ってくれたよい作品だったと思う。
そのほかの作品も「そんなことあるわけない」と思いながらもそうだと断定しきれない物語ばかり。
そんなぎりぎりのラインで私たちを翻弄する乙一はこれからも私たちを引き寄せて止まないだろうなとなんとなくそう思う。
| maita-k | 本 | 20:28 | comments(0) | trackbacks(0) |
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