2004.12.12 Sunday
ロスト・イン・トランスレーション
[映画]
ロスト・イン・トランスレーションビル・マーレイ
by G-Tools
ソフィアコッポラ監督作品。
大スペクタクルロマンでもなければ、息もつかせぬスリルもないし、サスペンスでもない。
東洋の片隅トーキョーで出会った二人の男女のどこにでもあるような、だけど珠玉の一作品。
ビルマーレイ扮する往年のハリウッドスターとスカーレットヨハンソン扮する旦那の仕事についてきた若妻。
二人は文化も習慣も違う東洋の片隅トーキョーで自分の場所を見失う。
気にもかけずにただ先送りにしてた「自分の存在意義」や「価値」をふと顧みる瞬間、そこにとめどなく流れ込む空虚な時間。
トーキョーという名の別世界のネオンに照らされて、おもむろにどうしようもない寂しさに襲われる。
二人はそんなトーキョーで出会い、淡い「恋愛」をするのである。
お互い愛する妻や夫がいる。もちろん、不倫するつもりもない。
ただお互いの隙間に流れ込む寂しさを癒しあえる相手をみつけただけ。
それはきっと、アメリカでは感じないし、みつけられない。異国の地だからこそ、見つけられるもの。
全編に漂う寂しさと切なさが明度の低い淡色で描かれているようなそんな雰囲気を感じた。
もちろん実際の映像が淡色で描かれているのではないのだけど、映像と二人の心情が見事にマッチしていて、何気ないシーンでも突然涙が溢れそうになる。
なにげないのだけど、あたしにとってはとてもかなしくてせつない素敵な映画です。